LOVEFATE~理由~

「俺、飲みもの買って来る。

英梨、何がいい?」


俊ちゃんは先に食べ終え、
ベンチから立ち上がる




「私は、コーラ」



「オッケー」




私から離れて行く俊ちゃんの後ろ姿が遠くなると、

空を見上げた




もう冬で寒いけど、
空はとても晴れていていい天気



平穏で、幸せで




俊ちゃんには、
倉木さんとの事は知られていない



多分だけど、倉木さんは俊ちゃんと大学で何も変わらずに接していると思う



この前も




「倉木にノート借りっぱなしだ」



って、自分の鞄開けて口にしていた事があった




俊ちゃんの近くに倉木さんが居ると思う度に、

いつ、あの事が俊ちゃんに知られてしまうのかと怖くて仕方ない




“隠してればいいから”


あの夜、亮ちゃんは何度も私にそう言った




俊ちゃんに罪悪感を感じながらも、

隠すしか出来ない





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