【BL】君と何処へ行こうか?
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『〜Another Story〜』
「ーー麻斗、麻斗!」
呼び掛けに返答はない。
麻斗が呼び掛けに応えないのは珍しい。
いつもなら直ぐに姿を見せると言うのに。
屋敷の中にも姿が見えない。
皆に聞いても行方は分からない。
中庭に来てみてもそれらしい影はない。
仕方ないと諦め掛けたとき、松の木陰から足先が見えた。
ゆっくり近付けば、すやすやと眠る麻斗の姿が見えた。
「全く……呑気なものだよ。」
隣に腰掛けても起きる気配はない。
いつも気を張ってるくせに、眠っているときは子供のようだ。
顔の作りが綺麗だから眉間にシワを寄せると迫力がある。
だからか周りは麻斗に苦手意識を持っているらしい。
こんなにも可愛い寝顔をしているのに。
そっと顔を近づけてみる。
まだ起きる気配はない。
そのままゆっくりと唇を重ねた。
ほんの数秒、けれど充分な時間だった。
「…………愛してるよ。」
笑えるだろう?
男である俺が、男である君に、
こんなにも恋してしまっているなんて。
君はまたいつものように俺を馬鹿だと言って、眉間にシワを寄せるんだろう。
「行き着く先が何処だとしても……一緒にいよう。」
ーendー

