【BL】君と何処へ行こうか?


「アンタ、甘いって言われない?」
「ん?ああ、よく言われる。」
「だろうね。僕もそう思うよ。」


何だか急に馬鹿馬鹿しくなって、身体の力を抜いた。



「俺に力を貸してほしい。」
「…………は?」
「俺の側近になってくれないか?」
「…馬鹿じゃないの?僕にヤクザになれって?」
「入会しろとまでは言わない。ただ近くで見ていてほしい。俺が変えていく様を。君に証明したいんだ。」



真っ直ぐに向けられる視線。

ちょっと苦手だ。



「……僕はヤクザにはならない。」
「それでいい。組員ではなく、別枠で俺の側にいてほしい。」
「………何で僕なの?」
「ん?そうだな………」


彼は少し考え、それから恥ずかしそうに笑んだ。



「一目惚れ、と言ったら信じるか?」
「…………馬鹿じゃないの?」


本当に馬鹿だと思った。


「もし俺が本当に組を変えられたなら、その時は笑顔を見せてほしい。心から笑った顔を。」
「……………アンタ、趣味悪いね。」
「そうか?見る目はある方だと思うんだがな。」
「………東雲 麻斗(シノノメ アサト)」
「それが、君の名か。麻斗、いい名前だ。」



それが彼との初めての出会いだ。





< 4 / 18 >

この作品をシェア

pagetop