Tomorrow Train
「それ何かムカつくわ!」
親友の里奈が叫ぶ。
「ちょっと、声大きいから!」
「だってさ、亜子はムカつかないの!?マジそいつ何様なわけ!?」
今日の『襟事件』を一通り話すと、里奈は勝手に怒り始めた。
確かに、あの男の人には腹が立った。
けど、今はもう怒りはおさまって
-…何だろうこの気持ち
どこか懐かしい感じが
胸いっぱいに漂っていた。
「ちょっと、聞いてんの、亜子!」
「ほら、もう8時半だよ!走ろうよ!」
里奈と私は
学校に向かって走りだした。
季節は初夏。
「おはよう!」
校門では生徒指導の三木谷先生が
怒鳴るように挨拶をしていた。
「やば!三木谷じゃんか!」
里奈は急に足を止めると
急いでスカートのウエスト部分の折り返しを直した。
「三木谷に捕まるとうるさいんだよね~…」
里奈ははにかむように笑った。
「おはようございます!」
校門を
駆け抜けると、後ろから三木谷の声がした。
何を言ってるのかは分からなかった。
靴箱につくと
スカートを折り込む里奈を見ながら考えてた。
-…あの人誰だろう?