一途でも心変わり
叶えたい夢
私はいつもこう思う。
神様って本当に居るのかなって。
何度も何度も、同じお願いをしたのに願いを叶えてくれないなんて。
やっぱり、神様は存在しないのかな?

「神様ー。私のお願い叶えてよー。」

私は、いつものように屋上で叫んだ。
こんなに大きな声でお願いしてるのに、私の声は神様に届かないのかな?

「何お願いしてんの?俺にだけでも教えてくれたって良くない?」

「瞬には教えないよ。教えたら夢が叶わなくなっちゃうよ。絶対に叶えたい夢だから・・・。」

そう、私はこの言葉を大切にしている。
いつか、あの人にも届いてほしいから。
私は、階段に向かった。

「絶対に叶えたい夢がある。たとえ駄目だとしても、私は幸せになれる」

瞬が言った。
私は、思わず立ち止まってしまった。
私は、この言葉に聞き覚えがある。
たしか、お兄ちゃんが言ってたような。

「瞬、何でその言葉を・・・」

「この言葉、俺凄く好きなんだ。なんか、心響くって言うか。お姉ちゃんが言ってた。この言葉を信じていた二人が永遠に結ばれる話。たしか、「神様を信じた二人」って言う題名かな」

私、続きがある事を初めて聞いた。
この世には、神様を信じない人よりも、信じる人の方が少ないんだって。
その中で結ばれる二人って、なんか運命のような気がする。

「ほら、あった。学校にもあるんだよ。この話は、この二人の友人が書いた、ノンフィクション話。短い文でも、伝わる事がたくさん書いてある。」

神様を信じた二人。
僕の友達二人は、失恋をしていた。
その時は、失恋した同士で恋人になるなんて思っても見なかった。
だけど、二人には共通点があった。
二人には、この世には神様がいると信じた心があった。
二人は、神様は私の事を応援している、だから告白しようと決めて、失恋した。
二人は、共に失恋した事を知って、今の気持ちを書こうと言い、一枚の手紙に書いた。
二人は、同じような事を書いたのだ。
書いてあった言葉が「絶対に叶えたい夢がある。たとえ駄目だとしても、私は幸せになれる」二人は、泣きながら書いたのだ。

私は、この本を読んで分かったんだ。
その人との出会いが最悪な事が原因であったとしても、運命は運命なんだって。 私の運命の人は誰なんだろう。あの人だといいのにな。

「潤頑張れー。シュートシュート」

校庭から、柚希の声が聞こえる。
私は、窓から校庭をのぞいた。
あいつらはいつもそう、元気で大声出して負けず嫌い。
相変わらず変わらないなー。

「麻由どーした?」

「あ、いや、別に・・・。私、今日はもう帰るよ。先生にさ、体調不良って言っといて。じゃあね。」

私は思わず、極端な事を言ってしまった。
だって、校庭に桜が居たから。
潤と桜は、すれ違い両想い。

「麻由、待てよ。俺、前から思ってたんだけど、お前って潤が好きなんだろ。」

「ううん、違うよ。もう諦めた。潤には桜がいるんだもん。」

私はもう、潤なんて好きじゃない。
校庭を見て、諦めた。
ほんの数分前だけど。

「って事は、小一から潤の事が好きだったのか。諦めるなよ。」

なんで、関係ない瞬に言われないといれないの。
私、これでも辛い想い沢山してきたって言うのに、もう耐えられないよ。

「お前、潤の事そんな程度の想いで好きだったのかよ。七年間の想いは、そんな薄っぺらいものだったのかよ。」

「瞬には関係ないじゃん。私は、諦めなくちゃいけないの。もう、こんな辛い想い二度としたくない。もう、私には無理だよ。諦めるしかないの。」

私は、瞬から逃げるように走った。
私の夢は叶えられないのかな・・・。
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