桜が咲く頃~初戀~
繋がる
香奈は圭亮が運転席の後ろに乗り込み座るのを待って彩未の座る助手席の後ろに乗り込んだ。圭亮の近い距離である隣に座ると思うと少し躊躇されだが。香奈の胸の奥がザワザワとして落ち着かない事を悟られないと良いとも思った。

こんなに近くに圭亮がいる。


それは嬉しいとも感じては居たけれど先程の光景を思い出し不安な気持ちが香奈を邪魔するのだった。

そんな事を考えては打ち消そうと香奈は車の窓を少し開けた

まだ、寒い夕暮れの冬の匂いがコンクリートに落ちた雨との匂いにも似ていて懐かしい気持ちがした。

『香奈、おばぁちゃん明日のお昼過ぎには家に帰って来れるんよ』

紀子の明るい声で今、考えていた気持ちが打ち消された。

『バァちゃん。何も無かった?』

そう言って助手席の座席の背もたれに頭をつけて紀子に聞いた。

紀子はチラリとバックミラーで香奈を見ると

『おばぁちゃんは大丈夫』


そうまた言って笑った。
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