桜が咲く頃~初戀~
初恋の終わり
雪が降り出してから2時間程して周りの景色は薄らと白く変わっていた。その景観はとて美しく静かで雪が降るシンシンと言う声とヒューヒューと鳴く風の声が聞こえて来る。その澄んだ空気を香奈は『すぅ』と短く吸い込んだ

彩未はおばぁちゃんに火鉢の前でお餅を焼いて貰って食べていた


『おばぁちゃん。あんな彩未な白い方のお餅海苔で食べたいねん海苔ある?それとなお芋のお餅に餡子入ってるまるいのん。ある?』

そう言う彩未にニコニコしながらおばぁちゃんは


『あるで〜ほれ冷凍庫に入れとるから自分で取って来なさいや』

そう言った。彩未は跳ねる様に居間から土間へ降りると冷凍庫を開けた


『香奈。餅たべんかな?芋餅太一郎叔父がついたけんあるぞ』

おばぁちゃんは部屋から大きな声で香奈を呼ぶと香奈はその声に『はぁい』と返事をして部屋の中に入ろうとした時に後ろから

『香奈』

と呼ばれて立ち止まってゆっくり声の方に振り向いた。少しハスキーな女性のその声は遠くの記憶に残っていた香奈は「綾香だ」と全身に力が入った。




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