桜が咲く頃~初戀~
『私、覚えてる?綾香だけど』

そう言った綾香は昔の記憶の中の綾香では無く背が香奈より10cm程も低く。ほっそりとして、肌の色が透けるように綺麗な女性になっていた。一瞬香奈は間違えたのか?と思った位だ

綾香は腕に1歳位の男の子を抱いて立っていた。

『私、綾香だけど。覚えてる?』

綾香は少し高圧的に見えなくも無い様な顔をして少し首を斜めに傾げ香奈を見上げてそう言った


『あっ。うん分かってる』

そう香奈が言うと綾香は緊張が溶けたのか?ニヤリと笑うと香奈の元へゆっくりと近づいて来た。

『今日、私。東京帰るんよ。だから1度会っておきたくて...。長年の恋敵に』

と言って「あはは」と笑った

『ねぇ。香奈は圭の事どう思ってるん?』

唐突な綾香の問いかけに少し怯んだ物の香奈は綾香にはキチンと言わないといけない様な気がした。今、言わないと綾香が圭亮を想い続けて来た初恋は終われないのだろうと香奈は思ったのだ。

『子供の頃から何時も一緒に居てくれてたのもあるけど。私はずっと圭亮君の事を好きだと思ってた』

そう言葉にした香奈は思いの外自分の気持ちを口に出すのは容易な事を知って驚いた。



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