桜が咲く頃~初戀~
そうしていると「おねぇちゃぁんオハヨー」と彩未の声がした。何時から居たのか大根を洗っている香奈のすぐ左横に立って香奈の袖を引っ張っている。

まだ眠いのか?目をグーにした右手の甲でゴシゴシと摩っていた。

『彩未、よく寝れたん?お姉ちゃんは今から朝御飯作るねん。この大根おっきいやろ〜?さぁこの水で顔を洗いや』


彩未は香奈がこんなに彩未に話しかけてくれたのも笑顔で彩未を見てくれるのも初めてだったから一瞬ポカンとしてしまい直ぐに嬉しいワクワクに変わった。

『はぁい』


彩未はワクワクに感じていたから子供の出す可愛らしい声を高くして返事をした。

『彩未。顔を洗ったら家に入りや。お姉ちゃん先に行ってるで』

そう言って香奈が家に入ると彩未は香奈に慌てて追いついて来た。まだ顔も拭いていない彩未はバタバタとしていてとても可愛かった。

『彩未、まだお外は寒いんやで。風邪引いたらあかんからはよ顔をふきや』

香奈は何時までも濡れた顔でまとわりついて離れない彩未の頭からフェイスタオルを被せて笑った。彩未はそれが嬉しかったのかバタバタと両手を振りながら楽しそうに笑っで土間を走り回った。

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