変わりゆく華たち 第一幕 散ル華
こうなったら、上手く逃げるしかないな。
まずこの掴まれた腕をどうするべきか。
「一体何のようだ。それから腕を離せ」
「何のようだ、って言われても
さっきの事を知りたいんで聞きにきました。
それと腕を離すことは出来ません。
あなたが逃げてしまうかもしれないですしね。」
やっぱり影から見てたのか。
やな奴らだ。一応町娘が危険な目にあっていたというのに、助けにも行かないなんてな。
それにしてもこいつ、ニコニコ笑っていて言葉も丁寧だが、目は全然笑ってないな。
笠から覗いてでもわかる、相手を警戒している目だ。
警戒するのは構わないがいつまでも腕を掴まれたままでは色々困る。
俺は思い切り腕を振り払い、腕から手を離させた。
「先程の件はあの女に聞くといい。俺は急いでいるんだ」
そして俺はその場から走り、この男から逃げた。
「あっ……ちょっ、ちょっと待ってください!!」
誰が待つか。
さて、早く逃げないとまたこいつに捕まる。次に捕まれば本当に逃げられなくなる。