変わりゆく華たち 第一幕 散ル華
「その刀、降ろして欲しいんだが…?」
「どうしてこうなった」
…無視なのか。
「……伊織がここを出て行きたい、って言ったら総司が『じゃぁ僕と死合をしよう』って言って、それで……」
「…こうなっちゃったの?」
藤堂の言葉にコクリ、と頭をうなずかせる斎藤。
斎藤は沖田の刀を鞘に戻して、自分の膝の上に置いた。
「ったく。
藤堂、斎藤。総司を医務室に連れて行け」
「「はい」」
藤堂と斎藤は沖田の肩を持ち道場から出て行った。
土方はそれを見送ると
自分の腰に差していた刀を鞘から抜き出した。
「テメェは総司の条件をのんで試合をしたってわけなのか?」
「ああ、死合をな…?
沖田から誘われたんだ。昨日のこともあるし、早く此処を出て行きたいって思ってたら、沖田は素晴らしい条件を提供してくれたから俺はそれにのっただけだ。」
さて、素晴らしい条件付きの死合にも勝てたからそろそろ此処を出るか。
取り敢えず、[甘味所 花]にでも行き、情報を集めないとな…。
次の行動を考えながら土方の隣を通り過ごそうとした時、
何かがカラン――っと落ちた音と、
風を斬る音が聞こえた。