Crescent


琴音ちゃんと公園で待ち合わせをする数時間前、ランチがとっくに終わった時間に一人の女性客がかなり怪しい感じで入って来た。


良く見れば橘様。
いつもの優雅さは見られず、かなりやつれた様子。


「はぁっ…店長ぉ、かくまってぇ…!」


「…はぁ―。
またですか」


「ッ…そうよっ。
また、よ。
いいから早く!!」


「……橘様、こちらへどうぞ……」



真下ちゃんが立っているカウンターの裏側には人が隠れるくらいの隙間があり、そこに入って貰った。



暫くして若い男が店内に入って来た。
走って来たのか息が荒く額に汗が滲んでいた。



「店長っ、橘先生が来ませんでしたか?」


「いいえ、またどこかに行ってしまったんですか?」


「ええ、お願いしていた原稿が今日までなんで伺ったんですけど、どうも書けなかったようで……」

「逃亡ですか?」


「そうなんです」


「橘様も困った方ですね」


「僕は他の心辺りを探してみます」



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