Crescent
全部の代金を払いたいのに笹嶋さんは二個分の値段しか言ってくれなくて困った。
結局払わせて貰えなくて。
笹嶋さんは私にパンの入った袋を手渡しランチ用のテーブルで待つように言うとちょうど入って来た知り合いらしいお客と話し始めてしまい。
仕方なくランチ用のテーブルで待っていると澤野さんが私が選んだパンと紅茶を持って来た。
「お待たせ」
「ありがとうございます」
「食べてみて?」
「美味しいです」
「そうか良かった」
「ゆっくり食べてて、俺は奥にいるから」
澤野さんは奥に行ってしまった。
途中、笹嶋さんが紅茶のお代わりはどうかと訊いてくれて、もう一杯淹れて貰った。
紅茶の香りが気持ちと身体の緊張を解いてくれた。
パンも本当に凄く美味しくて満たされた、くつろいだ気分になれた。
さっきまで隼人と会った事で動揺していたのに。
今は凄く落ち着いている。