Crescent
紅茶のお代わりを持って来た澤野さんは、さっきと同じように向かいの席に座ってじっと私を見た。
「澤野さん?」
「琴音ちゃんさぁ、辛い事あるだろう?」
「…………」
「さっき駅のバス停で見掛けた時、元気がないように見えた」
「それは、アンジュに行ったけど澤野さんがいなかったから、ちょっとがっかりして」
「…………クスッ。琴音ちゃんはそんなに俺に会いたかったんだ」
ニッコリしながら更に見つめられて、心臓の鼓動が煩いくらいに鳴り出した。
何か言わないと……そう焦って出た言葉は。
「あっ……いや、ちがっ……。
ちがくは、ないですけど……」
もはや意味不明で自分でも何を言ってるか分からなくなって来た。
「ごめん。
琴音ちゃんが可愛い事を言ってくれるからつい苛めちゃった。
俺が訊いているのはそう言うことじゃなくて、何かモヤモヤしたものを抱えてるんじゃないかって事なんだ?」