Crescent



会社から帰って来た私は、夕御飯を済ませて自分の部屋に入ってから携帯電話を開いた。



電話帳には澤野さんの名前と番号とメールアドレスが表示されている。

昨日送って貰った時に『何か困った事があったら連絡して、いつでも力になるよ』そう言って教えてくれた。


私も番号とアドレスを澤野さんに教えた。


「ふぅ……」


なにもなしにかけたら迷惑だし……
そう思い、澤野さんに電話を掛ける事なく携帯電話をパタンと閉じた。



窓から見えた月は丸く見えるけど満月ではない。
十五夜の前の待宵の月。
澤野さんは今日も公園で夜空に浮かぶ月を見ているんだろうか。


「琴音、お風呂入って良いわよ」


お姉ちゃんの声が聞こえてカーテンを閉めて部屋を出た。


< 43 / 281 >

この作品をシェア

pagetop