Crescent
一度着替えてから行こうと家に帰った。
服を着替えた後、肩にかかる長さの髪を一度下ろしたけど、やっぱりまとめ直して鏡で確認した。
化粧も直して……これじゃあ本当にデートに行くみたいだ。
思わず苦笑いをして鏡の中の自分を見た。
「友達と会うから、ちょっと出かけて来る」
「今から行くの?」
「うん行ってきます」
公園までの道のりを歩いて行く。
辺りは段々と薄暗くなって来た。
やがて空には三日月が浮かび。
儚げに光っていた。
ベンチに座って見上げていると。
携帯が振動した。
《はい》
《琴音ちゃん?今、公園だよね。
もうすぐそっちに着くから》
《分かりました。
待ってますね》
電話ごしに澤野さんの低くめの声が聞こえてきて耳に心地よく響く。
電話を切ってそんなに経たないうちに土を踏む足音が聞こえてきた。