君と私を、夜空から三日月が見てる
元彼は実家暮らしだったし、その前の彼氏はうちに転がり込んで紐みたいだったし・・・
考えてみれば、一人暮らしの男の人の家に上がりこむなんてこれが初めてかもしれない・・・!
やばい!
なんか、すごーくドキドキする!!

そんな私の心情に気づくこともなく、柿坂君は、キッチンのケトルでお湯を沸かし、マグカップにインスタントコーヒーを入れて、テーブルの上においてくれた。

「それしかなくて、いいかな~?」

「う、うん!大丈夫!なんでも飲める、から!」

「よかった」

柿坂君はそう言って、いつもそこが定位置なのか、テレビの向かいにすとんと座る、そして、コーヒーの入ったマグカップを片手に持つと、大きく息を吐いたのだった。

「ふぅ・・・・やっと落ち着いたような気がする・・・」

余りにも感慨深いその言葉に、私は、思わず笑った。

「ほんとだね。昨夜は寝れなかった訳だし、これでゆっくり寝れるよ?」

「うん・・・」

もう一度大きく息を吐いて、柿坂君のミステリアスな瞳が、ふと、私の顔を見る。
ちょっと眠そうな、とても無防備な表情で、彼は、まっすぐに私の瞳を見つめてきた。
その視線がまっすぐ過ぎて、私の心臓はまたしても、どきっと大きく鼓動を打つ。
そんな私の動揺をよそに、柿坂君はゆっくりと口を開いた。

「俺・・・なんで、長谷川さんにここを教える気になったのかな~?」

余りにも不可解なその言葉に、私はきょとんとしてしまう。

「え?」

「ん?」

そんな私を不思議そうな顔で見つめ返す柿坂君。
私は、マグカップのコーヒーを飲みながら思わず聞き返した。

「え?それどういう意味かなと?」

「うんとね・・・」

柿坂君はちょっと困ったように眉間を寄せて苦笑すると、言葉を続ける。

「ボスに拾ってもらう前にさ、俺、とある大手のスポーツ用品店で働いてたんだ」

「うん」

「そこでさ」

「うんうん」

「あるバイトの女の子から告られたんだ」

「ああ・・・柿坂君はモテそうだもんね」

「うーん・・・ああいうのモテるって言うのかな・・・・?
まぁ・・・いいや、それでさ」

「うん」

「でも俺、付き合うとか付き合わないとか、結構そういうのどうでもよくて。
その子のことは嫌いじゃなかったんだけど、なんていうか、あんまり気が合わない感じがしてさ、断ったんだ」

「気が合わないのは・・・致命的かもね」

「だよね・・・」

「うん、私も、気が合わないと思ったら付き合わないよ」

なんて言いながら、過去に二人としか付き合ったことない!なんて、おねーさんぶってる以上言えないです!
私はそのまま、柿坂君の話を聞くことにした。

「それで、その後、結構経ってからさ、別の女の子に告られたんだ」

「だいたい告られてる!!!?」

「そんなこともないけど・・・・」

「ああ、ごめん、それで?」

「うん、それで・・・・」












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