《続》手にしたあとは?
連れて行かれたのはすっごくおっきな水槽の目の前。360度ほとんどが水槽で、海の中に居るみたい…。
「…イルカ…?」
私の頭上を何匹かのイルカが優雅に泳いでた。
「うん。イルカ。」
「綺麗…」
「僕ね、何か悲しかったり辛かったりすると休みの日に絶対にココ来るんだ。」
店長はそれだけ言って黙ってイルカを見つめた。
「そうなんですか。」
私も一言だけ発すると黙って泳ぐイルカを目で追った。
しばらくすると、少し離れた所で眺めてた店長が話かけてきた。
「坂下さん、さっきココに入ってからどれくらい経ったと思う?」
質問の意味が分かんなかったけど、素直に答えた。
「えっと…10分くらい…ですか?」
「残念。僕達30分はこの水槽見てたんだよ。」
店長は水槽に手を触れて嬉しそうに言った。
「え?嘘っ…そんなに?」
びっくりした。だってただ黙ってイルカを見てるだけで30分って…
「そんなもんだよ時間って。過ごし方によって長くも短くも感じる。」
「…」
「時間が解決してくれるんだよ。」