Gで不憫なガール
Gで不憫なガール
私、桃栗 ゆりあ。平均より可愛いし、ナンパだってたくさんされる。
でも、神様? いくらなんでも私にこの能力だけは、いらないでしょー⁉︎

時はほんの一時間前に先上る。
私は、今度こそ運命の人と決めた彼とデート中。しかも、今にキスされそうな位置にいる。

何度目かの正直っていうよね。これが、この人が運命のー......。
と、その時だった不穏な音をさせながら、彼の服に止まったアイツを私は見逃したかったのに、みたら最後。

近くにあった木の枝で彼の服に止まったアイツを突き刺し何度何度も、残虐極まりない殺し方をする。というかしているらしい。友人の柚乃が偶然それをみたらしく、彼女曰く、「めっちゃ笑顔で殺ってたよ」とVサインももらってしまうほどらしい。

先ほどの説明でわかるように、私の恋はいつもこんな風にドン引きされて終わってしまうのだ。

「やだよね。私だってやだもん、こんな女ー......」
何度目かの失恋。何度流したかわからない涙。
そして、目の前には原型のないG。
悲しみを振り払うように私は走って、家まで帰ったのだ。

今日は月曜日。最悪な月曜日。
素敵な恋の始まりだったはずの日曜日の失態はもう取り戻せない。
正直、休みたい。布団の中でふて寝したい。
でも、私の友人はそこまで甘くない。
「ゆりあー? 何まだ寝てんのよー。今日もゆりあの失恋話し期待してんだから早く起きろよっ! 」
と、糸も簡単に布団を引き剥がされる。
薩摩 柚乃。私の友人。心が乙女ってヤツで柚乃自体は男だ。女の子になるために日夜バイトに明け暮れるたくましい女子。
「柚乃さーん。鬼畜過ぎ〜」
柚乃が剥ぎ取った布団を取り返そうとするがそうはいかない。
「誰があんたの為に朝4時起きして、この完璧なゆるふわカールしたとおもってんの⁉︎ ママさんのご飯できてるんだから、早く行くよ? 柚乃だって腹ペコなんだから‼︎」
うちの両親は、柚乃が本当は男だってしらない。だらしない娘を迎えに来てくれるいい子としか思ってない。

私たちが通ってる学校は私服オッケーで、柚乃は毎日、怠ることなく完璧な女子。今日もピンクの甘々コーデがよくお似合いで......。
私と来たら、目は腫れぼったいし顔のコンディション最悪。
「ったく、手前かけさせないの。ほら〜」
私のどんなひっどい顔も柚乃はまるで魔法使いみたいにいつも通りのモテメイクをしてくれる。
「柚乃様々〜」
「ったく、そんなのどーでもいいから、さっさと着替えてよー。ママさんのご飯覚めちゃうじゃん」
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