Gで不憫なガール
ほっかほかの美味しいご飯。柚乃ん家は、両親共に外資系の仕事で今、オーストリアにいる。
だから、ある意味腹を空かしたハイエナのように、だらしない私を起こす口実に使ってご飯を食らうのだ。

柚乃には大学生の優しいお兄さんがいるっていうのに、お兄さんのご飯は、食べ合わせがヤバイらしくウチにくる。

「も〜。自分で自炊したらいーのにー。」
「ったく、だらしない娘にそんな事言われたかないでしょ! 柚乃ちゃんに謝んなさい。ゆりあ‼︎」
私が、柚乃にやーやー言うと自分の失態が母親の口から矢のように刺さってくる。
「うぐっ......」
そんな、私を柚乃はニヤニヤ笑ってる。
どうせ、どのタイミングで、Gがでて来たのか柚乃は、妄想してるんだ。

なんだかんだでご飯が終わって、いつものように、柚乃との登校中。
女装してる柚乃だって可愛いし、柚乃に毎日のようにセットされてる私もイケてると思う。
だから、毎日毎日、遅刻ギリギリなんだ。
だって、ほら見て? 目の前にはキラキラした男子の群!(?)
学園までの並木道で、男子に声を掛けて来られなかったら、うちの学園では、ダサい女子として、高等部の三年間をそのレッテルを貼られながら生きて行かねばならない。
だからうちの学園の女子は超かわいい。
私らは今年からこの学園に受験して、互いの幸せの為に生徒になったのだ。

「キミ達〜かわいいね〜。俺ら、今日休みなんだよねー。俺らと遊ばない? 」
ほら、イケてる男子〜。超いい感じ‼︎
「でもー。うちの学園きびし〜し〜」
柚乃がすかさず、上目遣いで、言うと、大体の男は堕ちる。
「ったく、お前ら今日は休講じゃねーぞっ! 」
遠くから、聴いたことのある声!
「っち。兄貴の知り合いかよ。ナシナシ」
そう、遠くから聴こえた声は柚乃のお兄さんの遥希さん。超優しいお兄さんで、実は私の理想の彼氏像だったり。
「いくよ、ゆりあ‼︎ 」
「ええ⁉︎ 挨拶ぐらいしたいよー」
そんな、私に柚乃はあからさまにばっかじゃないの? という顔をしている。
柚乃の猛ダッシュに息切れしながらも、教室までに着く頃には、遅刻ギリギリになっていた......。
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