初めての恋に溺れる人魚~my first love~
「あら珍しい。女のコと一緒だなんて」
私の存在に気付いたユリという女性は、こっちを見て、にっこりと微笑む。
その綺麗な笑顔に見とれてしまっていると、
「今日はコイツ、頼みたいんだけど」
という月島先輩の言葉が聞こえた。
「えっ……?」
と、思わず月島先輩の顔を見てしまう。
〝頼む”って、何??
「なるほどね、任せておいて」
じーっと私を頭のてっぺんからつま先までの勢いで見る、ユリさんという女性。
「仕上がり、どの位かかる?」
「そうねぇ~…かなり急ぎでも……四時間は一応見てもらってもいい?」
「わかった。その辺ブラブラしておくから、何かあったら連絡ちょーだい」
「オッケー」
私を置いてけぼりにして、月島先輩とユリさんって女性が話を進めていく。
仕上がり、って?四時間って?
どういうことか全くわからない。
だって、今から月島先輩の家でライブに向けて先輩達と練習するんじゃ―…