初めての恋に溺れる人魚~my first love~

「じゃあ、こっちに座って。これに記入をお願いね」


と鏡の前にある椅子に座らされる私。渡された用紙には名前とか年齢とかの欄があって記入していく。


「珍しいわね~」


「え?」


「わざわざ真っ黒に染めてるなんて~」


鏡越しにユリさんと瞳が合う。


「だって、もともとは髪の色、明るい色でしょ?」


「あ……」


「ちょっと根元から地毛が伸びて来てる」


確かに、そろそろ根元を染めないといけない時期だった……


「そっか。学生だから先生から髪の色、うるさく言われちゃうとか?」


「えっと……その……」


「あ、もう書けたかな?浜崎―…海音ちゃん、ね。どういう雰囲気にしたいとかって希望はある?」


さっき私が記入した用紙を見て、ユリさんが私の髪を櫛で梳かしながら尋ねてくる。



< 160 / 421 >

この作品をシェア

pagetop