初めての恋に溺れる人魚~my first love~
「じゃあ、こっちに座って。これに記入をお願いね」
と鏡の前にある椅子に座らされる私。渡された用紙には名前とか年齢とかの欄があって記入していく。
「珍しいわね~」
「え?」
「わざわざ真っ黒に染めてるなんて~」
鏡越しにユリさんと瞳が合う。
「だって、もともとは髪の色、明るい色でしょ?」
「あ……」
「ちょっと根元から地毛が伸びて来てる」
確かに、そろそろ根元を染めないといけない時期だった……
「そっか。学生だから先生から髪の色、うるさく言われちゃうとか?」
「えっと……その……」
「あ、もう書けたかな?浜崎―…海音ちゃん、ね。どういう雰囲気にしたいとかって希望はある?」
さっき私が記入した用紙を見て、ユリさんが私の髪を櫛で梳かしながら尋ねてくる。