初めての恋に溺れる人魚~my first love~
フロントに行くと、「おつかれさまでした」と、さっきのお姉さんが笑顔で迎えてくれる。
そうだ。お会計……
すっかり考えてなかったけど、いくらぐらいするんだろ??
こんなオシャレな美容室なんて来た事ないから、相場がわからない。
お財布を取り出して覗いてみるけど―…
「う……」
まずい。足りないかも……
ここって後日支払いとか出来るのかな……なんて一人で焦って色々と考えていたら、
「おい。先に出てろ」
店の外に出ていろ、と月島先輩に言われる。
「あのっ、でも、お会計が……」
そう慌てて言うと、
「ばーか。そんなのお前はいいから、外に出てろ」
と、冷たい表情で突き放されてしまう。
私、バカって言われた??
いや、それよりも〝そんなのお前はいいから”って、一体どういう―…
どういうつもりなんだろう……って悩むけど、あまりにも冷たく言われたものだから意味さえ聞けずに、
「はい……」
と、取り敢えず私は大人しく外へと出た。