初めての恋に溺れる人魚~my first love~
お礼……言わなきゃ……!
「あの……さっきはありがとうございました……!」
月島先輩の背中に、声を振り絞って伝える。
「ああ」
と反応はしてくれたけど、先輩は振り向いてはくれない。
「あと、さっきの代金―…後で返しますね」
「いいって」
「でも……っ」
「しつこい」
「―…っ」
だって、どう考えても美容室代は諭吉さん一人は余裕で超えてると思う。それを〝いい”って拒否されてもなかなか素直に〝そうですか”と納得するわけにもいかない。
だけど、またこれ以上言うと怒られそうで、それも怖い。
本当に良かったのかなぁ……
う~ん……と考えてしまう。