初めての恋に溺れる人魚~my first love~
何だか不味そうな雰囲気。
でも私、悪いこと何もしてない筈。
もしかして、彼と話をしてたから??
三年の先輩も同学年も、一年生までも突き刺すような冷たい目つきで私を見てる。
いーちゃんも、そんな視線に気づいたみたいで、
「う、海音!取り合えず、ここから離れよう!」
私の腕をがっしり持って走り出す。
「あ、でもっ、ココアが―…」
私だって一秒でも早くこの視線の中心から立ち去りたいけど、自分の不注意でこぼしてしまったココアも気になる。
「そうだった~…」
「せめて掃除しておかないと―…」
「だね……って、あっ!!ちょうどいいトコに清掃のおばさん!!」
いーちゃんはそう叫ぶといったん私を離して走り出す。毎日放課後に校舎全体を掃除してくれる青いユニフォームを来た清掃のおばさんを捕まえて、こぼしたココアの処理を頼んでいた。
さすが、いーちゃん……と感心。
「これでオッケーだね!行こっ!海音!」
いーちゃんはそう言って、また私の腕をぐいっと掴んで走り出した。