初めての恋に溺れる人魚~my first love~
「未遂、とか何かすっごく物騒な言葉が聞こえたんだけど」
「それは……」
確かにそんな言葉を聞いちゃうと気になるよね。
いーちゃんには言わないと、って思う。
それに、いーちゃんは私のお気に入りの場所を知っている。
期待に沿えるような、大した出会いの話でもないけど―…
「あのね―…」
と事の経緯を話し始める事に。
お気に入りの浜辺にいったこと。
何時もの場所で唄っていた事。
〝人魚が唄っているかと思った”
なんて言葉、自分で言うのは恥ずかしいけど、ヒビキさんと出逢って、それから止まらない溜息と胸の高鳴りの理由を結衣に聞いてみたかった。
ヒビキさんとの少ない会話、シチュエーション……覚えているだけを話す。
ただ―…
露天商のおばさんとの出逢いと願いが叶う真珠の事は言わずに。