タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」
下賜にふさわしい? あたしが?


ひょっとして・・・権利勝ち取っちゃった?


この一回の勝利で、オールクリア?


あたしの快挙を称える歓声の中、信じられない気持ちで頬に手を当て、うろたえる。


ほ、ほんとに? 本当にあたしが手に入れたの?


下賜を受ける権利はあたしのもの? この盛り上がりを信じていいの?


「男爵夫人よ、ここへ」


ぼーっとしていると声をかけられた。


見ると王様があたしに向け、手を伸ばしている。


国王が、確かにあたしを見ている・・・。


本当だ。夢じゃない。

本当にあたしが手に入れたんだ。

奴隷身分から解放される権利を・・・。


呼ばれるままに、ふわつく頭と足取りで前に進む。


夢見心地で国王の御前にひざまずいた。そして頭を深く下げる。


王様の堂々とした声が聞こえてきた。


「余の良き忠臣である男爵夫人よ。そなたを称え、下賜を与えるものとする」


間違いなく、その言葉があたしの耳にしっかり届いた。


じわじわと実感と喜びが湧いてくる。


やった・・・ついに、ついに・・・・・・


「さあ何なりと申してみよ。そなたの真の望みを」


・・・・・・!


その王の言葉があたしの胸を突き、表情を強張らせた。


あたしの・・・真の願い・・・?

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