タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」
『姫でなければ、意味がない』

それは、愛の言葉だと思っていた。


でもその言葉の真意は・・・


他の姫では、父親を満足させるためには役不足で無意味だということ。


スエルツ王子が生涯捧げると誓ってくれた『真実の愛』など、どこにもなかった。


この手には・・・なにもない。


空虚な手の温かさを信じ、偽りの笑顔を信じ。


幸せに胸を躍らせて嫁いできた・・・愚かな奴隷。


「わたくしが・・・このまま、このまま・・・」


アザレア姫は言葉を詰まらせ、飾り扇で顔を覆った。


両肩が、小さく細く震えている。


泣いて・・・いるの? 姫、可哀想に・・・。


物心ついた時から、何度も何度も国に利用され続けて。


今度こそと信じた相手に、最悪な形で裏切られた。


その胸中を思うと、まるで自分のことのように胸が痛む。


なんとか慰めてあげたくて、あたしは姫に一歩近づき、思わず手を差し伸べた。


「姫・・・どうか泣かな・・・」


「どうせこのまま黙って引き下がると、スエルツ王子はタカをくくっていたのでしょうよ!!」


アザレア姫が扇からガバッと勢いよく顔を上げ、鋭く叫んだ。


あたしはビクッと手を引っ込める。

え? ・・・え? え??

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