タヌキな騎士と選ばれし花嫁の・・・「愛は世界を救うんです!」
「おっかなくてスケベだけんども、足は速ぇんだぁ。馬よりずっと速ぇ」


「はあ・・・」


「だからほれ、早くケツ乗っけろ。遠慮すんな。そいつも喜ぶから」


う・・・・・・。

事情を聞いたら、ますます乗りたくなくなってしまった・・・。


ユニコーンがくぃくぃ頭を上下して、あたしに早く乗れって催促してる。


はぁ、しかたないか・・・。


あたしとオジサンはユニコーンの背中に乗った。


感性に問題はあっても、そこはさすがに天下のユニコーン。


座り心地はバツグンだった。


・・・どーしてもお尻がムズムズしちゃうのは、別にして。


「よおし! 城まで頼むだぁよ!」


オジサンの掛け声にユニコーンがいななく。


伸びやかな四肢を優美に動かし、風のように走り出した。


山道をものともせず、弾丸のように駆けていく。


うわあぁ! ほ、本当に早い! まさに疾風!


揺れる! 怖い! ぎゃあぁーー!


振り落とされないように、長い首にしっかりと抱き着く。


密着した途端、ユニコーンが嬉しそうにいなないた。


・・・なに喜んでるのよ! このスケベ!


あたしの匂いに勢いづいたのか、ますますスピードがアップする。


信じられない速度で、あたし達は城へと向かった。

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