恋文



校門に人影が見える。
だんだんと鼓動が早くなる。

違う人かもしれないのに、よく見えないのに、アタシの勘が悠哉さんだと伝える。

「っ悠哉さん!!!」

その人影は、やっとアタシに気付き、こっちを見る。
それはやっぱり悠哉さんで。

「ハルちゃんっ!!」

すごく嬉しそうに笑うから。
すごく安心したように笑うから。
さっきまでの不安に押し潰されそうな表情じゃなくて、いつもの悠哉さん。

「すっ…すいませ…はぁはぁ…ちょっと、呼び出しくらってて…!!」

「…っ良かった。」

額に浮かんだ汗を拭いながら悠哉さんを見上げると、悠哉さんは今にも泣きそうな、そんな表情をしていた。

「え?」

「ハルちゃんに嫌われちゃったかと思った。俺、バカだから、何したか分かんないけど、ハルちゃんから連絡ないから不安だった」

アタシと同じ。
悠哉さんも同じだったんだ。

アタシだけじゃなかった。

「ずっと待ってても来ないって分かってるのに、もしかしたらって思っ…」

「そんなことない!!だってアタシ来たじゃん!!ちょっと遅れちゃったけど、ちゃんと来た!!!」

あのね、悠哉さん、とアタシは続ける。

「アタシ悠哉さんのこと嫌いになったりしないよ。絶対、絶対しないよ。」

悠哉さんはアタシの髪の毛をクシャクシャにして、アタシの好きな太陽みたいな笑顔で笑った。

「ありがと、ハルちゃん。すっげー嬉しい!」

悠哉さん。
アタシは期待しても良いのかな?
その笑顔に期待しても良いのかな?

分からない。分からないんだ。
そんなに嬉しそうに笑われると、余計に分からなくなる。

鼓動が早くなる。これは走ったから。
そう。走ったからだよ。
これ以上、悠哉さんを好きになったらダメだって決めたのに。
悠哉さんがアタシに笑いかける度に、アタシの名前を呼ぶ度に、優しくしてくれる度に、決心が揺らぐ。



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