恋文
「すいませーん。」
「あ、はい。」
女子高生?かな。
アタシと同い年くらいの子が2人座っていた。
「オレンジジュース1つ紅茶1つとガトーショコラ1つ。まっつ何食べる?」
「うーん。どうしよう。あ、オススメとかありますか?」
え。あ、そういう感じ。
たった今入ったばっかりの新米アルバイトにオススメとか聞いちゃう。
んなもん分かる訳ないじゃん。
アタシさっき採用されて、説明も何も受けてないド素人だよ!?
なんて、この2人が知る筈もなく、まっつと呼ばれた子はアタシのことを正規のアルバイトだと思っている訳で。
オススメ、オススメ、オススメ…?
とりあえず、アタシの好きなもの言っとけば良いのかな?
「オススメは苺タルトです!タルトはサクサクだし、苺は甘いし、とっても美味しいですよー!」
「へぇ!じゃあ苺タルト下さい」
「えっと、オレンジジュース1つ、紅茶1つ、ガトーショコラ1つ、苺タルト1つで宜しいですか?」
「はーい」
「失礼します。」
できた!できた!初めての接客できちゃった!
上機嫌でカウンターまで戻り、玲二さんに注文を伝える。
「あ、これ注文入ってたヤツ。手前のテーブルのお客さんね。」
「はいはーい!」
手渡されたパフェを丸いお盆に乗せて、テーブルまで運ぶ。
「お待たせしましたー苺パフェ2つと、チョコレートパフェになります」
「あ、はーい。」
「うわっ。おいしそう!」
「でしょー?」
3人とも嬉しそうに笑ってパフェを受けとる。
なんか、アタシも食べたくなってきた。
お客さんが減ったら、アタシも玲二さんに頼んで作って貰おうかなー。
「失礼しま…」
「あ、待って下さい!」
3人のうち1人がアタシを止める。
あれ?
アタシなんか失礼なことでもしたかな?と内心、焦りつつ、あくまで冷静にニッコリと笑う。
「はい?なんでしょうか?」
「あ、あの。もしかして緑ヶ丘高校の川上小春さんですかっ?」
あー、アタシのことか。
『校内美男美女ランキング』なんてバカイベント、他の高校ではやらないから、珍しいってことで他校も興味津々なイベント。
だから上位に入ると、自然と他校の人に顔も覚えられるという、最高に迷惑なおまけつき。
たまに声掛けられることあるけど、ちょっと芸能人になった気分になれる。
アタシはあんまり好きじゃないけど。
「あー、はい。」
「やっぱり!あの!一緒に写真撮ってもらっても良いですか?」
「良いですよー」
「やったー!!ちぃ、撮って撮って!」
「ん。並んで並んで~」
顔を赤くしたまま、隣で遠慮がちにピースをする子を可愛く思いながら、アタシもニコニコとケータイのカメラに笑顔を向ける。
カシャッと音がして、その子は「ありがとうございました!」とアタシに頭を下げた。
カウンターに戻る時、後ろから、撮っちゃった撮っちゃった!本物めっちゃ可愛い!という声が聞こえて、悪い気はしなかった。