恋文



「…で?悠哉は川上が俺の学校の生徒だと知ったうえで連れ回していた訳か?」

「ま、そうなるわな。学校に迎えに行ったことも、あるらしーしな。いやぁ、教師ってのも大変だな、治せーんせっ」

「はぁ…。」

先生はカウンターに突っ伏しながら、盛大なため息を吐き出した。

「センセも大変だねぇー」

「主にお前のことでな。」

「ひどっ。アタシ真面目ちゃんだよ?」

「最近は、だろ。」

それには言い返すことも出来ず、口を尖らせていた。
でも、良いことを知った。
悠哉さんの同級生が先生だったとは!

「ん?」

「どーしたのー?」

「お前に朗報、治には悲報だ。悠哉が来た。」

「えぇー、ウッソだー!」

ケータイも見ずに分かる訳ないじゃん。
と、思いながら窓の外を見る。

駐車場には誰もいなくて、ほーら!と玲二さんに言おうと思った時、タイミングを見計らったように1台の車が店の前で停まった。
それは、黒い悠哉さんの車だった。

「なんで分かったの!?」

「俺がアイツと何年いると思ってんだ。勘だよ、勘。」

玲二さんは自慢気に、ニヤッと笑う。

なんだそのスキル。
アタシも欲しい。

隣の相変わらずテンションの低いセンセの空気が、さらに悪くなった気がした。

「やっほー2人共元気してたー?」

満面の笑みで入ってきた悠哉さんは、アタシを見るなり驚いたように目を見開いた。

「え?ハルちゃん!?男2人のむさい空間で何してんの!?」

「苺タルトを食べに来ちゃった☆」

「来ちゃった☆じゃないよ!!襲われたらどうすんのさ!!」

「え、誰に。」

「玲二と治…ないな!」

「うん。ありえないよ。そんなことより!」

机をバンッと叩き、扉の前に呆然と立ったままの悠哉さんを見る。
アタシは、玲二さんみたいに、ニヤッと笑う。

「悠哉さん覚悟した方が良いよ?」

「え?なん…」

「悠哉!!」

センセの一喝に、悠哉さんはビクッと肩を震わせた。
悠哉さんは恐る恐るといった感じで、先生の方へと視線を移す。

「あっはー…治、ハルちゃんが誰か分かっちゃった…?」

「良いから、ちょっとこっち来い!お前なぁ良い歳して何やってんだ!」

「いや、あ、はい…。」

先生の横に座らせられて、しゅん、とする悠哉さん。
なんか尻尾と耳が見える気ぃする。
なにこれ、かわいい。

先生も、そんなに怒らなくて良いのにー。
こないだ教頭のズラ吹き飛ばした男子が、先生に怒られてたの思い出す。


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