恋文
「なぁーに笑ってんだ?」
カウンターの向こうにいた玲二さんが、アタシの苺タルトの皿を片付けながら言う。
アタシは、隣の2人を横目に、
「んー。仲良いなーと思って。」
「そうかー?」
「そうだよ。あ、もちろん玲二さんもだよ?」
玲二さんは「別に嬉しくねーよ。」と言っていたが、悠哉さんやセンセといる時の玲二さんはどこか楽しげに笑っていた。
やっぱ同級生ってのは良いねー。
アタシも奈美と、大人になっても仲良しでいたいなぁー。
「玲二さんは悠哉さんとセンセのこと好き?」
別に何気ない質問のつもりだったのに、玲二さんの動きは完全に止まり、隣の2人もアタシを凝視していた。
あれ?変なこと言った?
「……お前、それ、俺が好きって言ったら色々とマズイんじゃねーの?」
と、苦笑する。
「え?なんで?」
「あのなぁ、男は女と違って、簡単に好きなんて言わねーんだよ。」
「え、なんか昭和っぽい考え方。お爺ちゃん?」
何故か悠哉さんが吹き出した。
「玲二っ…くくっ!孫できたじゃん!ぷっ…お爺ちゃんって…!!」
「お前だって同い年だろ。良いから俺の話を聞け。お爺ちゃん。」
先生が悠哉さんの頭をガシッと掴み、自分の方を向かせる。
でも、まだ〝お爺ちゃん〟の破壊力が残っているようで、至極真面目な顔をしていたけど、肩は小刻みに震えていた。
「お爺ちゃん。お爺ちゃん。」
「人の愛称を勝手にお爺ちゃんにするなよ。」
「だって、ねぇ?玲二さん、まだ20代でしょ?もっと若くて良いじゃん。」
「若いだろ。アホ。」
悠哉さんと先生、玲二さん。
3人とも同い年…、には見えなくないか…?
まぁまぁ、同い年、か。
精神年齢がだいぶ違うだけか。
長男が先生、次男が玲二さん、三男が悠哉さんっぽいな。
「3人って3兄弟っぽいよね」
「あー、治が長男か?」
「そうそう!で、玲二さんが次男!」
「えー!じゃあ俺末っ子!?」
「悠哉さんは末っ子だよー!てか、あれ?センセ、もう良いの?」
「あぁ…もう悠哉に何を言ってもダメだってことが分かった…。」
無表情過ぎて怖い、と校長に言わせた、あの無表情体育教師が弱っている、だと…!?
悠哉さんヤバイよ。もう伝説だよ。
あの数分で、よくここまで弱らせたな。
効果音が『ぐでー』だよ!
背景どんよりしてるよ!