恋文



「悠哉さん仕事とか大丈夫なんですか?」

「んー?大丈夫大丈夫~!こんな若造いなくとも仕事は進むから!」

ふーん?
そんなもんなのかな~。

それじゃあ、学校と変わらないかもしれない。
学校も、アタシがいなくなっても気にしないから。

「悠哉さん、さっきの手紙って彼女に向けてですか?」

悠哉さんが車の中で、後部座席にあった鞄に手紙を大事そうに入れていた姿を思い出す。
スゴく優しい微笑みだった。

「違うよ。俺の片想い!何年も渡すの躊躇してたら、ボロボロになっちゃったの!」

「片想い?何年ですか?」

「もう4年くらい経つかな~」

「へぇー!長い!そうとう好きなんですねー綺麗な人ですか?」

「うん!めっちゃ綺麗で可愛いよ!俺が愛したんだもん!」

「じゃあ、渡すまでに手紙書き直さなきゃですね」

アタシが冗談めかしにそう笑えば、悠哉さんも「そうだね」と、おかしそうに笑った。
悠哉さんに愛されるなんて、その女性はきっと幸せ者だ。
とっても綺麗な人なんだろうなぁ~。

アタシが悠哉さんが好きな女性を想像していると、おまちどーさん、という声が聞こえた。
それは、もちろん玲二さんで。

「オレンジジュースとパフェね。」

アタシの前にオレンジジュースとパフェが置かれる。
ソフトクリームの真ん中に堂々とイチゴがあって、その脇には色とりどりのフルーツ。
赤や黄色や緑のシロップが、かけられてある。

ものすごくキラキラしてる!

「こっちが悠哉の。ごゆっくりどうぞ。」

玲二さんはそれだけ言うと、カウンターに戻っていった。
悠哉さんは何故かクスクスと笑っていた。

「ちょっ、なんで笑ってるんですか!」

「いやっ…ごめっ、だってハルちゃん、すんげー嬉しそうにするんだもん!くくっ!あはははっ!」

「笑わないで下さいよ!自分は苺ミルク頼んでるクセに!!」

悠哉さんが言う〝いつもの〟は、どうやら苺ミルクのことらしい。
悠哉さんの前に置かれている苺ミルクが、なんか可愛く見える。

「良いんだよ!苺ミルクは旨いもん!」

プイッ、と苺ミルクを持って、横を向く。
横を向きながら、ストローを使って苺ミルクを飲むサラリーマンなんて、滅多にお目にかかれないだろう。

普通のサラリーマンがやったら気持ち悪いのに、悠哉さんがやると可愛いから不思議だ。

拗ねてる悠哉さんを可愛いと思いながら、パフェを一口食べる。

「は?うまっ!!意味わかんない!」

「ぶはっ!」

何故か悠哉さんが吹いた。

「なんで美味しいと意味わかんないのさ!ははっ!ハルちゃん可愛すぎでしょっ!ぷっ!あはっ!」

「仕事サボる奴に言われたくないよ!」

「学校サボる奴に言われたくねぇ!!」

「ひどっ!」

悠哉さんはアタシよりも子供っぽくて、無邪気で、可愛い。

アタシよりも年上の人に可愛いはどうかと思うけど、本当に犬みたい。
コロコロと表情を変える。


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