ガーデンテラス703号
「あぁ――……」
「こちらです」
遥斗が口を開いたとき、外から声がして個室のドアが開いた。
「どうも」
あまり感情のこもらない低い声が聞こえたかと思うと、個室のドアを開けたお店の人の後ろから長身の男の人が顔を出す。
「あ、森岡さん」
「遅れて悪い」
森岡さんと呼ばれたその人が、遥斗や他の男性メンバーに向かって手をあげる。
それから、私たち女性メンバーに視線を向けると申し訳なさそうに眉を寄せた。
「すみません、遅れて。森岡です」
私たちに向かって軽く会釈した彼は、真面目で清潔そうな印象を受ける人だった。
「森岡、自己紹介まだだよ。遅れてきたくせに目立つなって」
私の向かいに座っている人が、からかうようにそう言ってけらりと笑う。
「あ、そうだったんですか?それ早く言ってくださいよー、山城さん」
森岡さんが首の後ろをかきながら恥ずかしそうに笑う。
「とりあえず座れよ」
山城さんと呼ばれた人に促されるようにして、森岡さんは私の前の席に座った。