ガーデンテラス703号


「あゆかちゃん」

歩き出そうとしたとき、後ろから名前を呼ばれた。

振り向くと、シホたちと一緒に二次会に行ったはずの森岡さんが手を振りながらこちらに歩いてくるのが見える。


どうしたんだろう。

不思議に思いながら立ち止まって軽く頭を下げると、森岡さんがふっと微笑んだ。

3つくらい年上だったと思うけど、いい意味で年齢以上に大人っぽい笑い方をする人だと思った。


「あの、二次会は?」

ずっと向かいの席に座っていたけど、目を合わせてまともに口を利くのはこれが初めてかもしれない。


「うん。途中まで行きかけたんだけど、あゆかちゃんをひとりで帰らせたことがすごく気になってしまって」

「そう、ですか……でも、うちここから二駅くらいなんで」


「そうなんだ?じゃぁ、送るよ」

「え?」

森岡さんはすっと自然に近寄ってきてたかと思うと、私の隣に並んで前へと促すようにさりげなく背中を押した。




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