ガーデンテラス703号


エントランスのドアが開くと、ホタルが私を追い越すように早足で歩いていく。


「あの、鍵ありがとう」

小走りで追いかけて、その背中に声をかけると、エレベーターホールの前で立ち止まった彼が私を振り返った。


「合コンなんて乗り気じゃないようなこと言ってたわりに、結構楽しんできたんだな」

ホタルが嫌味っぽい言葉を投げかけてくるから、少しムッとした。


「そんなこと……二次会は行かずに、先に抜けて帰ってきたし」

反論すると、ホタルが疑わしげに私を見下ろしてきた。


「へぇ。男とふたりで?」

その言い方で、ホタルが森岡さんと一緒にいるところを見てたんだと気づく。


「覗き見してたの?」

顔をしかめると、ホタルが私をバカにするように鼻で笑った。


「そんな趣味ねぇよ。仕事から帰ってきたら、タイミングよくエントランスの前に男とふたりでいるお前を見かけただけ」

「私だって、成り行きで送ってもらっただけだよ」


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