ガーデンテラス703号


ドキドキしながら外に出ると、オフィスの入り口のちょうど目の前に止まっていた白のセダンの窓が開いた。


「あゆかちゃん、こっち」

窓から顔を覗かせた森岡さんが、私に向かってにこやかに手を振ってくる。


「あんまり長く停めれないから、乗って」

森岡さんはそう言うと、親指で助手席のほうを指し示した。


「あ、えっと。はい」

森岡さんに促されて、そのまま流されるように助手席側に回り込む。

そうしたら、森岡さんが内側からちょっとドアを押し開けてくれた。


「乗って」

運転席から身を乗り出すようにしてドアを開けてくれた森岡さんが、優しく微笑みかけてくる。


「お邪魔します……」

ドキドキしながら恐縮気味にドアの隙間に身体を滑り込ませると、森岡さんがクスリと笑った。


「どうぞ」

助手席に座って森岡さんの横でシートベルトを締めると、車に乗り込むときよりもさらにドキドキした。


< 184 / 393 >

この作品をシェア

pagetop