ガーデンテラス703号
「あの、ここって高い……」
一応カードも現金もあるけど。
確か最後にお金おろしたのが2週間前。
現金足りるだろうか。
お店の看板を見上げながら、そっとカバンを抱きしめてる。
そんな私の不安をよそに、森岡さんは中華料理店の入り口へと続く階段を颯爽と上がっていく。
先には階段を登りきって店の扉に手をかけた彼が私を振り返って首を傾げる。
森岡さんがついてこない私を不思議そうに見つめるから、意を決して階段を登った。
どうか、思っているよりはお財布に優しいお店でありますように。
そんなことを願いながら、森岡さんに続いて店内へと入った。
店に入ると、黒のスーツ姿の男性がにこやかな笑顔で私たちを迎えてくれた。
入り口から続く、豪華な装飾の長い廊下を抜けて、ふたりで座るにはやや広いテーブル席に案内される。
自分で椅子を引いて座ろうとしたら、案内してくれたスーツの男性がさっと回り込んできてエスコートしてくれた。
恐縮して頭を下げながら座るとすぐに大きなメニューが手渡される。
開いて中を見ると、前菜がもう既に二度見して確かめてしまうくらいのお値段で。
おもいっきり場違いなところに来てしまったと思った。