ガーデンテラス703号


「お飲み物はどうされますか?」

スーツの男性が、森岡さんと私を交互に見て微笑みかけてくる。


「俺は飲めないけど、あゆかちゃん何か飲む?」

訊ねられて、私は即座に首を横に振った。


「大丈夫です。お水で!」

きっと、こういうお店はドリンクメニューも驚くほど高いんだ。

全力で首を振る私を見て、森岡さんがクスッと笑う。


「俺に合わせて遠慮しなくていいよ」

「いえ。明日は用事があるので、お水で」


頑なに「水で」と言い張り、本当は用事なんてないのに適当な嘘を吐くと、森岡さんが上手にドリンクオーダーを断ってくれた。


「明日の用事って仕事?今日誘って悪かったかな?」

だけど、私の嘘を本気にした森岡さんが心配そうに眉根を寄せるから少し申し訳なくなった。


「いえ、仕事ではないんですけどちょっとした約束があって……」

「約束って、デートとか?」


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