ガーデンテラス703号


ちょっと不自然なくらいオーバーに頷いた私に、ホタルは何の疑問も抱かなかったらしい。


「ふーん」と言うと、ちらっと私の手元に視線を向けた。


「ずいぶん遅かったんだな。その感じだと、当然買い物はしてねぇよな」

「買い物……」

そういえば、森岡さんと食事に行く前にホタルからそんなメッセージが届いてたっけ。

確か、卵と牛乳……?


「ごめん、すっかり忘れてた」

というか、言われなかったらもう思い出すことすらしなかったかもしれない。

謝ると、ホタルが私に向かって不満そうにため息をつく。


「返信ないし、期待はしてなかったけどな」

ついでに、睨むように見下ろされて、何だかひどく悪いことでもしたような気持ちになった。


「ごめんね。ホタルは明日も仕事だよね?必要なら、明日の午前中に買いに行っとく……」


謝りながら目を伏せる。


「なら、今から付き合え」

「へ?」

突然手首をつかまれたかと思うと、そのままホタルに前へと強く引っ張られた。


< 195 / 393 >

この作品をシェア

pagetop