ガーデンテラス703号


ホタルを起こさないように退こうと動くと、眠っているはずのホタルの腕が私の腰を引き寄せた。



目を覚ましたホタルがふざけてる……?

そう思って、ホタルの胸を両手で押してみたけど、彼の両腕はがっちりと私をそこに閉じ込めたままで微動だにしない。


「あの、ちょっと……ホタル?」

ふざけてるにしてはタチが悪い。

もう一度彼の胸を押しながら名前を呼んだら、今度はずずっと言う気持ち良さそうな寝息が返ってきた。

これは……

ふざけてるんじゃなくて、寝ぼけてる……?

閉じ込められた腕の中で、そっと視線をあげると、ほんの少し口を開けたホタルがすーすーと気持ち良さそうに眠っていた。

どうしよう。

ホタルは私のことをクッションか何かと勘違いしてるのか、がっちりとつかまえたままで離そうとしない。

よっぽど疲れてるのかな。

仕方なく、ホタルの上に俯けに重なった状態で、彼を起こさないようにじっと息をひそめる。


< 212 / 393 >

この作品をシェア

pagetop