ガーデンテラス703号


ホタルが寝息をたてるのに合わせて、彼の胸がゆっくりと上下に揺れる。

その動きに身を委ねる私の心臓は、彼の穏やかな息遣いに反してドクドクと激しく高鳴っていた。

衣服越しに伝わってくるホタルの体温が心地いい。

ホタルの胸の上でそっと顔を動かすと、煙草とお酒に入り混じって、洗濯のときに私が使っているソープ系の香りの柔軟剤の匂いがしてドキッとした。

ここに引っ越してきてから、洗濯は自分のものは自分で回す。

私が引っ越してくる前は、洗剤や柔軟剤はシホが選んで買ってきて、それを共同で使っていたらしい。

でも、シホ好みの柔軟剤はフローラル感が強すぎて私はちょっと苦手で。

それで、最近自分用に仄かに香る程度の好みの柔軟剤を買ってきて、洗濯機の横にひっそりと置いていたのだ。

たまたま、ホタルが洗濯のときに私の買ってきたものを使っただけなのかもしれない。

だけど、彼からほんのりと香ってきた私好みの柔軟剤の匂いに、ますますドキドキが止まらなかった。


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