ガーデンテラス703号


ついでに、そばにある小さめのツナサラダを手に取って振り返る。

そうしたら、ちょうどそこに設けてあったスイーツコーナーが私をものすごく誘惑してくる。

じっと見つめて迷った末に、結局プリンも手に取った。

レジで会計を済ませて、予定よりもやや重たくなった買い物袋を片手にコンビニを出る。

マンションに向かって歩きながら、暗くなり始めたばかりの紺色の空をふと見上げた。

そのとき、私のそばを速度を落として通り過ぎようとしていた黒のSUVが停車した。

ちゃんと道路の端を歩いていたのに、信号のない場所で突然その車が止まるからドキリとした。

人通りはまばらにあるけど、夕方だし、不審車だったらどうしよう。

買い物袋を持つ手に力が入る。

そのままマンションに向かって急いで走り出そうとしたとき、車のドアが開く音がした。


「あゆかちゃん?」

「え?」

名前を呼ばれた気がして振り返ると、森岡さんが開いたドアの隙間から上半身を覗かせていた。

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