ガーデンテラス703号
「あ、やっぱりだ」
にこりと笑いながら、森岡さんが車から降りてくる。
「あ、こんにちは……」
森岡さんに会うのは、高級中華レストランで一緒に食事して以来だ。
そのあとのデートの誘いを誤魔化すように適当に断っていて、それきり連絡もしていない。
森岡さんからも特に連絡はなかったから、もう会うことはないかな、なんて楽天的に考えていた。
それがこんなところで偶然に出会うなんて。
ものすごく気まずい。
軽い挨拶だけしてそのまま逃げ帰りたい気分なのに、森岡さんのほうは笑顔で私に歩み寄ってくる。
「俺の友達がこの辺に住んでて、一緒に遊んで送ってきたとこだったんだ。そういえばあゆかちゃんちもこの辺りだったよなーなんて思いながら車走らせてたんだけど、まさか会えるとは思わなかった」
「わ、私もびっくりです。この前と違う車だし……」
まさか、森岡さんだとは……
「あぁ、この前のは仕事のときに営業で使ってる社用車だったから」
「そうだったんですね」