ガーデンテラス703号


「あゆか、引っ越し先探してるの?」

シホが何か企んでいるような顔をして訊ねてくる。


「うん、そうだけど……」

不審に思いながらそう答えると、シホが椅子から立ち上がって向かいに座る私の腕をつかんだ。


「だったら、いい物件があるよ」

「え?」

シホの言葉に、私は一瞬身構える。


そういえば、この前会社の同期がこんなことを言ってた。

学生時代の疎遠になってた友達から急に連絡がきたからごはんを食べに行ったら、ネズミ講的な詐欺の勧誘されたって……

考えてみたらシホに会うのは大学卒業以来だし。

シホの今の仕事は美容室の受付だと言ってたから、不動産とかは全く関係なさそうだし。


急に「いい物件ある」とか。

なんか怪しい。

これまで懐かしがって呑気に飲んでた私は、急に不安になった。

疑いの目でシホを見ると、彼女がからりと笑う。


「大丈夫だって、あゆか。別に怪しい話じゃないから」


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