ガーデンテラス703号
よく見ると、ホタルがぐったりしているシホの背中をさするように撫でていた。
「シホ、もう部屋戻って寝ろ」
ホタルが立ち上がって、シホの腕をつかむ。
「あー、待って。頭痛い……」
ホタルが無理やり立ち上がらせようとすると、シホが重たい腰をソファーに沈めたまま額を押さえた。
「ほら、しっかりしろ」
ホタルがため息をついて、ぐにゃぐにゃなシホの腕を自分の方に絡ませる。
そうしてなんとかシホを立ち上がらせたけど、歩き出そうとした彼女が足を縺れさせてバランスを崩す。
ふらふらとしたあと、シホはホタルを巻き添えにしてソファーの上にダイブするように倒れた。
「痛ぇよ。ほら、身体起こせ」
シホの下敷きになったらしいホタルが、苦しげな声を出す。
「おい、シホ。お前、いつまでも俺に迷惑かけてんじゃねぇよ」
ホタルが冷たくそう言うと、酔っているせいか、シホが突然鼻をすすりながら泣き出した。