ガーデンテラス703号




「知り合い?」

森岡さんが私とホタルを交互に見ながら訊ねてくる。

その問いかけに対する私の反応を窺っているのか、ホタルがじっと見下ろしてくる。

何を思っているのかわからない、ホタルの睨むようなきついまなざしが怖かった。


「いえ、違います」

一瞬迷ったあと、私の口からそんな言葉が衝いて出た。

ホタルの刺すような視線から逃げ出したくて目を伏せる。


「ご注文は?」

「じゃぁ……」

うつむく私を気にするように窺い見てから、森岡さんがサラダやパスタ、肉料理などをいくつか注文する。

森岡さんに対応する、少し高い位置から聞こえてくるホタルの声がなぜか冷たく感じる。

まるで、私の知らない人の声を聞いているみたいだった。


「本当に知り合いじゃないの?」

注文を聞いたホタルが下がったあと、森岡さんが私の顔を覗き込みながら訊ねてきた。


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