ガーデンテラス703号


森岡さんとの食事はこれが2回目だけど、やっぱり男の人とふたりきりで過ごすのは緊張する。

森岡さんの話に、あまり気の利いた相槌も打てていない私は、彼に「つまらない」と思われていないだろうか。

お手洗いの奥の廊下に行って見えなくなってしまった森岡さんを気にしつつ、ため息をつく。


「お待たせしました」

そのとき、頭上からホタルの声がして、目の前に注文したカクテルが無造作に置かれた。

ブルーとオレンジの混ざった、綺麗な色のカクテルだった。


「あ、ありがとうございます」

「知り合いじゃない店員にも、一応礼は言うんだな」

嫌味たっぷりな声で、ホタルが皮肉ってくる。


「だって、ここがホタルの店だなんて知らなかったから」

「ふーん」

私の言い訳を興味なさそうに聞き流すと、ホタルは無人の森岡さんの席の前に赤ワインの入ったグラスを置いた。

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