ガーデンテラス703号
「この辺、何かあるんですか?」
「特に何も。あ、駅前の繁華街を抜けたところに、小さい公園があったかも」
「そうなんですね」
「酔い覚ましに、ちょっと付き合ってくれる?」
笑顔でそう言われて、私はちょっと迷ってから頷いた。
散歩に付き合うくらいで、食事代をチャラにしてしまっていいのかな。
手に握ったままの財布をしまえずにいたら、森岡さんに笑われた。
「財布、しまっていいよ」
奢ってくれると言ってるのに、あまり食い下がるのも失礼かもしれない。
私は小さく頷くと、お礼を言ってカバンに財布をしまった。
「じゃぁ、行こっか」
私が財布をしまうのを確認すると、森岡さんが隣に並んでとても自然な流れで私の肩を抱いた。
彼の大きな手が私の右肩を包んだ瞬間、緊張でドクンと心臓が跳ねる。
ドキドキしながら森岡さんの横顔をちらっと見上げたら、彼は慣れた様子でにこりと微笑んで私をエスコートするように歩き始めた。